「これまで私は世界各国に家を持ちたいとか、高級車を何台も所有したいとか、そういった類の“贅沢”をしたいと思ったことはありません。朝食はいつもマクドナルドで$3.17(約330円)、それ以上は使いません。携帯電話も$20(約2,200円)のいわゆる“ガラケー”でしたが、今年の2月に遂にiPhone11に機種変更しました。ただの電話として使っていますが」ウォーレン・バフェット(世界一のバリュー投資家)

www.vogue.co.jp

「これまで私は世界各国に家を持ちたいとか、高級車を何台も所有したいとか、そういった類の“贅沢”をしたいと思ったことはありません。朝食はいつもマクドナルドで$3.17(約330円)、それ以上は使いません。携帯電話も$20(約2,200円)のいわゆる“ガラケー”でしたが、今年の2月に遂にiPhone11に機種変更しました。ただの電話として使っていますが」ウォーレン・バフェット(世界一のバリュー投資家)

 

 世界一のバリュー投資家であるバフェットが質素な暮らしをしていることは、彼について少しでも聞きかじった人たちなら誰もが知っていることです。

 

 そして、間違いなく言えるのは、彼は投資という仕事を、ただ誰よりも上手にできるということだけではなく、投資という仕事をとても愛しているということ。

 

 お金のためならば仕事を続ける必要はまったくないほどに稼いでいるのですから。

 

 きっとバフェットにとって投資とは最高に楽しめるゲームなのでしょう。恐らく子供が野球カードを集めたり、電車について覚えたり、虫について勉強したりするのと、根底に流れるものは同じなのではないでしょうか。

 

 その興味の対象が、たまたまストック(株式)だったというだけなのです。(実際、彼は11歳の時に最初の投資を始めました)

 

 彼にとって最高の幸運は、世界一の投資家になれたことではなくて、自分が大好きな株式投資を子供のころから、ずっと続けてこられたことなのではないでしょうか。

 

 バフェットの投資手法を研究し、真似る投資家はたくさんいます。しかし、その生き方を真似る投資家はあまり多くありません。

 

 たいていは稼ぎはバフェットの足元にも及ばないのに少し成功すると、バフェットよりも贅沢な暮らしを始めます。

 

 もしあなたが投資家ではなくても、バフェットから学べることはたくさんあります。

 

 ぼくは、投資家たちがバフェットから学べないことこそ、価値があると考えます。

 

 それは質素に暮らすこと。消費資本主義は我々に持っているだけお金を使う事を要求してきます。いや、むしろ持っていないお金まで使う事を要求してきます。未来の自分から借金をしてでも、お金を使えを要求してきます。

 

 それは激烈なものです。テレビでもネットでも、美しい女優が、カッコイイ俳優が、かわいいアイドルが、新しいものを買え、新しいものを試せ、時代に追いつけ、時代を追いこせと、要求してきます。

 

 人は弱いものです。自分の軸となる価値観を持てず、俳優、女優、アイドルに勧められれば、新しくなった、良くなったと言われれば新しいものに手を伸ばし、企業に言われるまま、人生を切り売りして手にした大切なお金を支払ってしまいます。

 

 では、自分の軸となる価値観とは何でしょう?

 

 それは大好きなこと。バフェットで言えば投資です。彼にとって投資とは仕事であると同時に楽しみであり、人生における楽しみをしっかり握っているので、その他の豪華な暮らしには興味がないのです。

 

 車は走ればいいし、家はそれなり住めれば豪邸である必要は無い。だからセールスマンにそそのかされて、お金を散財することもないのです。

 

 一方で人生の楽しみを見つけられずにいると、快楽を求めて、楽しさを求めて、企業に言われるままに、新しいバッグを買い、新車を買い、豪邸を買い、人によってはクルーザーまでも買うことになるのです。

 

 しかし、それでも満たされません。なぜなら人に勧められただけで、心から欲しいものではないからです。

 

 それでも散財のツケは回ってきます。ローンを組んだ以上、お金を稼がなくてはなりません。そして多くの人は少しでも給料が高い仕事を選んで、結局、やりたくない仕事を生涯続けることになるのです。

 

 この悪循環から抜け出るには、本当に好きなことを見つけ、それに熱中するべきです。

 

 ただ注意して欲しいのは、モノを買う喜び、消費する喜びと、そのものを本当に愛する喜びを混同しない、ということ。

 

 映画が好きなら映画館に見に行くのもいいでしょう。

 

 しかし人によってはDVDやブルーレイを買って積んでおくだけの人もいます。それは映画を愛しているのではなく、もの買う喜びと、映画に対する愛情と勘違いしているだけです。

 

 

 本当に映画が好きな人は気に入った映画を何度も観るでしょう。パッケージのままで積んで置くようなことはしないはずです。

 

 映画好きの人が、脚本を書き始める。マンガ好きの人が自分でもマンガを書いてみる。小説好きが自分でも書き始める。

 

 それが世に認められようと認められまいと、その人の人生はずっと豊かになります。もはやその人は人生の喜びを見つけたので、今や、喜びを求めて、企業に勧められるまま散財する必要がなくなったからです。

 

 もちろんバフェットのように大好きなことが仕事になれば最高です。

 

 何しろ起きてから寝るまで、ずっとそのことを考えていられるまのですから。

 

 もし仕事にならなくても、自分の楽しみを見つけ、浪費しなくても質素な暮らしで満足できるようになれば、人生の貴重な時間をやりたくない仕事に振り向ける割合はずっと減ります。

 

 世間が羨むような「贅沢」をしなくてはいられないという人は、人生で自分だけの楽しみを見つけていない人です。

 

 他人から、すごいね、贅沢だねと言われなくては、自分が本当にそれを楽しんでいるのかどうか、わからないのです。

 

 人生で自分だけの楽しいことを見つけた人は、それがたとえ牛乳瓶のフタ集めであろうと、かまわないのです。他人がどう言おうとかまわないのです。

 

 最後にもう一度、バフェットの言葉を噛み締めてみましょう。

 

「これまで私は世界各国に家を持ちたいとか、高級車を何台も所有したいとか、そういった類の“贅沢”をしたいと思ったことはありません。朝食はいつもマクドナルドで$3.17(約330円)、それ以上は使いません。携帯電話も$20(約2,200円)のいわゆる“ガラケー”でしたが、今年の2月に遂にiPhone11に機種変更しました。ただの電話として使っていますが」ウォーレン・バフェット(世界一のバリュー投資家)